株式会社こびき屋

木の語り部通信

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大黒柱

大黒柱昔は、大黒柱のある立派な家が沢山ありました。ある縁から、築何百年という古い民家の解体に立ち会う機会があったのですが、そこで年老いた主人が、黒光りのする立派な大黒柱を、さもいとおしげに手でさすりながら涙して居られた姿を拝見し、私は胸に熱いものが込み上げ『これこそが本物の家だ!』という思いを強く持ちました。

『人』と『家』が一体で、家の一部が主人なのです。昔当時の人々は、大黒柱に宇宙の神が宿ると考えていたようです。

大きな横架材を四方で受け止め、どっしりと構える姿には、見るからに安心感があります。大黒柱の樹種は、欅、栗、松、杉、桧等です。欅や栗など広葉樹は、特に素性が良くて、十分に乾いた物でないと使えません。欅が捩れる(回転する)と、家全体が捩れます。欅にはそれほど強い力があります。

私は、数年前から大黒柱を挽き、今まで何本も使って頂きました。先月は6mの24cm角(20尺×8寸)の大黒柱と8mの21cm角(10尺×7寸)の副大黒(姫大黒)を建てました。大黒柱で狂いが少なく安心なのは杉材です。

杉は80年生くらいである程度大人になり、バランスよく芯をとらえて製材すると狂いません。12cm角(4寸角)の柱が、よく狂うのは、まだ子供だからです。大人になると、木味も良くなり、丈夫で安定します。世の中何事も要(かなめ) となる中心が大切です。

大黒柱は、家の『お父さん』なのです。